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敗戦真相記 読了
「永野護 敗戦真相記」 読了しました。

著者は戦前から戦後にかけての財界人・政治家で、この本は戦後まもなくの1945年11月に行われた講演の筆記です。

終戦直後にもかかわらず敗戦の原因について言い尽くされており、鋭い洞察に驚きました。

情報軽視、科学力の差、陸軍と海軍の対立などさまざまなファクターがありますが、総合して言うと国民全体としての敗北なのだと思います。

政治家・軍隊の責任ももちろん重いのですが、日清・日露の勝利で思い上がり自らを世界の1等国民と信じ、アジア諸国を見下した責に帰するものでしょう。

その移ろいやすいというか幼稚とも思える国民性は現在も相変わらずです。

民主党の極端な勝利をもたらした8月の選挙結果には驚かされました。

絵に描いた餅のようなマニフェストを信じて政権を預けたものの、今では現実と理想との乖離に直面しています。

政治家を交換しても国民を交換しなければ、真にこの国が良くならないのは明白です。

個人的には成熟した民主主義が機能するためには、おおむね国土面積との割合で欧米各国のように日本の人口は今の半分程度になる必要があると考えています。

しかしながら近い未来にそうなるはずもなく、あとは教育によって国民全員のレベルをボトムアップさせるしかないのですが、まだ程遠いですね。

私としては日本の未来には極めて悲観的です。
反逆の獅子 浅原健三の生涯 読了
近現代史収集が趣味なのですが、浅原健三という人物はこの本を読むまで全くのノーマークでした。

少々牽強付会ではありますが、歴史の裏に位置する極めてマイナーな人物ではあると思います。

驚くべきことにwikipediaには詳細な来歴が記されており、どんな人が記事を書いたのだろうと改めてあらゆる知識を共有できるネット社会の利便性に気づかされました。

この人についてはwikipediaで簡潔かつ巧みに要所を突いた説明がなされているので多弁を要しませんが、大体以下のとおりです。

炭鉱労働者の家庭に生まれ

若くして八幡製鉄所のストライキを指導

左派の国会議員になるものの体制側に目をつけられ失脚

思想を実現するため軍部中枢に入り込み石原莞爾の参謀になる。

東条英機に国外追放をされ上海で事業を起こし大富豪になる。

戦後は上海の資産を放棄し、日本で政界の黒幕として働く。

といったところです。

一見左派から右派に転向したように見えるプロフィールですが、その実思想は首尾一貫しており、戦争に身を賭して反対しました。

左派から転向した人物として水野成夫、田中清玄のような大きな権力を握った有名人がいますが、彼等と違うのは戦前における大胆痛快な活躍です。

反体制の国会議員として非常に著名だったにもかかわらず、選挙に落選した後市井の民間人として当時の軍部の最中枢人物である石原莞爾と蜜月の関係を築くことに成功します。

これは非常に驚くべきことで、浅原の類いまれなる魅力と石原莞爾の器の大きさが感じられます。

日中戦争を阻止すべく内閣の組閣にまで影響力を及ぼす立場にあったのですが、すんでのところで東条英機らによる追い落としにあい、前代未聞の国外追放措置がとられます。

法を犯したわけではないため、他に適切な処置がなくとにかく日本に帰らないでくれと言うことで国から資金を与えられ諸国を巡り、上海に落ち着きます。

その間、下手に帰ってこられては影響力が大きすぎて困るという東条政権の弱みを巧みに利用し、為替取引で大きな財を築きます。

上海においても事業に成功し、当時上海における十代財閥のひとつに数えられるまでになります。

あの児玉誉士夫がライバルだったとのことです。

しかしながら戦争が終わった後は児玉とは違い、政治には余り関わらず趣味の囲碁に没頭し、その分野でも大きな貢献をしています。

戦争反対といえば今では美句にすぎませんが、当時は売国奴と罵られ、あっさり殺されてもおかしくない時代です。

まさに命を賭した先人の熱情に心から敬服をしました。

もっといろんな方に知ってもらいたい偉大な人物ですね。
福澤桃介式 読了
パンローリング社の「福澤桃介式」読了しました。

福澤桃介は私が最も敬愛する人物の1人です。

文庫の帯に桃介の分かりやすい歩みがあります。

貧家の子

諭吉の息子

大相場師

電力王

億万長者

大河ドラマ「春の波涛」でも準主役になった人物です。

この本は桃介の講演等を集めた内容で、明治45年に刊行されたものを復刊したものです。

以前よりこの本をずっと読みたいと思っていたので、復刊されたことを知ったときは非常に嬉しかったです。

私が大変感銘を受けたポイントは「憎まれて嫌がられて世を渡れ」という物言いです。

曰く、例えば会社勤めをし、その会社に可愛がられれば何となしに安住しつまらない月給取りとして一生を送ることになる。

他に試したい夢があっても、人情的に会社を去ることができない。

また可愛がられて利益を与えられても、反面いつかは利益を返さなければならずプラマイゼロである。

憎まれて嫌がられて世を渡る人はどうか。

可愛がり手が無い者はどこまでも1人で働ければならないからこそ堅忍自強の念を強くし、独立自尊の人となる。

「天は自ら助くる者を助く」ではなく「天は人の助けざるを助く」である。

とのことです。

ただ桃介自身はこのような事を言いながら、非常に義に厚い人であったようです。

他の著作も多いようですので、復刊してもらいたいものです。
「西行花伝」読了
久しぶりの更新です。

辻邦生の「西行花伝」を読了しました。

もともと吉川英治の新平家物語を読んだときに、武士から世捨て人の如き漂泊の歌人となった西行と言う人物に興味をもち、その生涯を追った代表作とも言うべきこの本にたどり着きました。

涙を誘う物語ではあるのですが、深ーく宗教的、哲学的思量を誘うような場面が随所に見られました。

「願はくは 花の下にて 春死なん そのきさらぎの 望月のころ」と詠んだとおりに波乱に満ちた73歳の生涯を閉じた西行法師ですが、私も今際の際にそのような境地にたどり着きたいものです。


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